【不動産覚書】食料を守る砦「農地法」と転用の実務
2025/12/15 (Mon) 07:40
━━━━━━━━━━━━vol.1052━2025.12.15━
不動産覚書~要点だけ。メールで届く、不動産の本質~
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XXXXさん
おはようございます。村上です。
今日を含めて、このメルマガも残り3回となりました。 最後まで、実務の現場で「ハッ」と気づきになるような、 そんな情報をお届けできればと思います。
さて、これまで都市計画法や建築基準法といった、 「街」や「建物」のルールについて触れてきました。
今回は、日本の国土において特殊、かつ極めて重要な 「農地」にスポットを当てます。
「農地法」。
一見、不動産取引とは距離があるように感じるかもしれませんが、 実はトラブルの種になりやすい、要注意分野です。
「見た目は雑種地だけど、法律上は…?」 「市街化区域だから大丈夫だと思っていたら…」
そんな落とし穴にはまらないよう、 農地法の要点と、実務上の急所を整理しておきましょう。
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■ メイントピック|食料を守る砦「農地法」と転用の実務
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なぜ、自分の土地なのに自由に家を建てられないのか。 その根底には「国民の食料を守る」という、 国の大きな方針があります。
農地法は、限られた国土の中で 食料自給率を維持し、国民の命を守るための法律です。 そのため、農地の売買や用途変更(転用)には、 非常に厳しい制限がかけられています。
実務で押さえておくべきポイントは以下の通りです。
「現況主義」の怖さを知る 登記簿の地目が「山林」や「雑種地」であっても、 安心してはいけません。
農地法における農地判断は 「現況(今の見た目や使われ方)」がすべてです。
・登記は「畑」だが、長年耕作放棄され森になっている ・登記は「山林」だが、実際は畑として耕されている
この場合、後者は農地法の規制を受ける可能性が高いです。 「現況主義」であることを常に念頭に置き、 現地確認を行うことが第一歩です。
不動産取引の「3・4・5条」 農地法には、我々が覚えておくべき 3つの大きな数字(条文)があります。
【第3条】農地を「農地のまま」売買・貸借 農家さん同士の売買などがこれにあたります。 農業委員会の許可が必要です。
【第4条】自分の農地を「自分で」転用 「自分の畑に自宅を建てたい」というケース。 都道府県知事等の許可が必要です。
【第5条】農地を買って(借りて)「転用」 「農地を買って分譲地にする」「家を建てる」という、 不動産業者が最も関わるケースです。 こちらも都道府県知事等の許可が必要です。
※許可なく契約しても無効となり、 原状回復命令や罰則の対象となります。
「場所」で変わる難易度 転用のハードルは、その農地が「どこにあるか」で 天と地ほどの差があります。
●市街化区域内の農地 比較的ハードルは低めです。 農業委員会への「届出」で済みます(許可不要)。 ※ただし届出を忘れるとアウトです。
●市街化調整区域内の農地 原則、転用は認められません。 非常に厳しい基準をクリアして、初めて「許可」が得られます。 立地基準や一般基準など、綿密な調査が必要です。
●青地(農用地区域内農地) 農業振興地域整備計画で指定された、いわゆる「青地」。 ここは原則、絶対に転用できません。 「農振除外」という極めて難易度の高い手続きを経ない限り、 手を出してはいけないエリアと言えます。
調査のチェックリスト 農地絡みの案件が来たら、以下の順で確認しましょう。
現況確認(本当に農地か?)
区域区分(市街化か、調整か、それ以外か)
農振確認(青地に入っていないか?)
手続き(届出でいいか、許可が必要か)
「安いから」「造成すればなんとかなる」 という安易な判断は禁物です。
農地は、日本の食料基盤そのもの。 その重みとリスクを理解した上で、 慎重なハンドリングが求められます。
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■ 編集後記|冬枯れの景色と、次の春への準備
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師走も折り返し地点を過ぎ、 熊本の朝も霜が降りるほどの寒さになってきました。
年末の挨拶回りで郊外へ車を走らせると、 収穫を終えた田んぼが静かに広がっています。 夏には青々とした稲穂が風に揺れていた場所も、 今は土の色に戻り、じっと春を待っているようです。
今回のテーマである「農地」について書きながら、 そんな冬枯れの景色を思い出していました。
一見、何も動いていないように見える冬の農地ですが、 土の下では栄養を蓄え、次の季節への準備が進んでいます。
私たちの仕事も似ているかもしれません。 すぐに契約や着工といった「実り」が見えない時期でも、 地道な調査や、お客様との信頼関係を耕し続けること。 それが、やがて来る春に大きな成果として芽吹くのだと思います。
今年も残りわずかとなりました。 忙しない時期ですが、少し足を止めて、 来年に向けて「土作り」をする時間も大切にしたいですね。
体調を崩しやすい季節ですので、 どうぞ温かくしてお過ごしください。
残り2回。 次回も、不動産実務の核心に迫ります。
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■ 発行人 株式会社三成開発 村上哲一
熊本県熊本市中央区南熊本三丁目14番3号
くまもと大学連携インキュベータ108号
E-MAIL:murakami@3sei.jp
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不動産覚書:https://i-magazine.bme.jp/92/193/397/XXXX
熊本の開発許可申請:https://i-magazine.bme.jp/92/193/398/XXXX
「まち」を「つくる」:https://i-magazine.bme.jp/92/193/399/XXXX
熊本の登記測量:https://i-magazine.bme.jp/92/193/400/XXXX
熊本の経営事項審査:https://i-magazine.bme.jp/92/193/401/XXXX
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XXXX
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XXXXさん
おはようございます。村上です。
今日を含めて、このメルマガも残り3回となりました。 最後まで、実務の現場で「ハッ」と気づきになるような、 そんな情報をお届けできればと思います。
さて、これまで都市計画法や建築基準法といった、 「街」や「建物」のルールについて触れてきました。
今回は、日本の国土において特殊、かつ極めて重要な 「農地」にスポットを当てます。
「農地法」。
一見、不動産取引とは距離があるように感じるかもしれませんが、 実はトラブルの種になりやすい、要注意分野です。
「見た目は雑種地だけど、法律上は…?」 「市街化区域だから大丈夫だと思っていたら…」
そんな落とし穴にはまらないよう、 農地法の要点と、実務上の急所を整理しておきましょう。
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■ メイントピック|食料を守る砦「農地法」と転用の実務
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なぜ、自分の土地なのに自由に家を建てられないのか。 その根底には「国民の食料を守る」という、 国の大きな方針があります。
農地法は、限られた国土の中で 食料自給率を維持し、国民の命を守るための法律です。 そのため、農地の売買や用途変更(転用)には、 非常に厳しい制限がかけられています。
実務で押さえておくべきポイントは以下の通りです。
「現況主義」の怖さを知る 登記簿の地目が「山林」や「雑種地」であっても、 安心してはいけません。
農地法における農地判断は 「現況(今の見た目や使われ方)」がすべてです。
・登記は「畑」だが、長年耕作放棄され森になっている ・登記は「山林」だが、実際は畑として耕されている
この場合、後者は農地法の規制を受ける可能性が高いです。 「現況主義」であることを常に念頭に置き、 現地確認を行うことが第一歩です。
不動産取引の「3・4・5条」 農地法には、我々が覚えておくべき 3つの大きな数字(条文)があります。
【第3条】農地を「農地のまま」売買・貸借 農家さん同士の売買などがこれにあたります。 農業委員会の許可が必要です。
【第4条】自分の農地を「自分で」転用 「自分の畑に自宅を建てたい」というケース。 都道府県知事等の許可が必要です。
【第5条】農地を買って(借りて)「転用」 「農地を買って分譲地にする」「家を建てる」という、 不動産業者が最も関わるケースです。 こちらも都道府県知事等の許可が必要です。
※許可なく契約しても無効となり、 原状回復命令や罰則の対象となります。
「場所」で変わる難易度 転用のハードルは、その農地が「どこにあるか」で 天と地ほどの差があります。
●市街化区域内の農地 比較的ハードルは低めです。 農業委員会への「届出」で済みます(許可不要)。 ※ただし届出を忘れるとアウトです。
●市街化調整区域内の農地 原則、転用は認められません。 非常に厳しい基準をクリアして、初めて「許可」が得られます。 立地基準や一般基準など、綿密な調査が必要です。
●青地(農用地区域内農地) 農業振興地域整備計画で指定された、いわゆる「青地」。 ここは原則、絶対に転用できません。 「農振除外」という極めて難易度の高い手続きを経ない限り、 手を出してはいけないエリアと言えます。
調査のチェックリスト 農地絡みの案件が来たら、以下の順で確認しましょう。
現況確認(本当に農地か?)
区域区分(市街化か、調整か、それ以外か)
農振確認(青地に入っていないか?)
手続き(届出でいいか、許可が必要か)
「安いから」「造成すればなんとかなる」 という安易な判断は禁物です。
農地は、日本の食料基盤そのもの。 その重みとリスクを理解した上で、 慎重なハンドリングが求められます。
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■ 編集後記|冬枯れの景色と、次の春への準備
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師走も折り返し地点を過ぎ、 熊本の朝も霜が降りるほどの寒さになってきました。
年末の挨拶回りで郊外へ車を走らせると、 収穫を終えた田んぼが静かに広がっています。 夏には青々とした稲穂が風に揺れていた場所も、 今は土の色に戻り、じっと春を待っているようです。
今回のテーマである「農地」について書きながら、 そんな冬枯れの景色を思い出していました。
一見、何も動いていないように見える冬の農地ですが、 土の下では栄養を蓄え、次の季節への準備が進んでいます。
私たちの仕事も似ているかもしれません。 すぐに契約や着工といった「実り」が見えない時期でも、 地道な調査や、お客様との信頼関係を耕し続けること。 それが、やがて来る春に大きな成果として芽吹くのだと思います。
今年も残りわずかとなりました。 忙しない時期ですが、少し足を止めて、 来年に向けて「土作り」をする時間も大切にしたいですね。
体調を崩しやすい季節ですので、 どうぞ温かくしてお過ごしください。
残り2回。 次回も、不動産実務の核心に迫ります。
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■ 発行人 株式会社三成開発 村上哲一
熊本県熊本市中央区南熊本三丁目14番3号
くまもと大学連携インキュベータ108号
E-MAIL:murakami@3sei.jp
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不動産覚書:https://i-magazine.bme.jp/92/193/397/XXXX
熊本の開発許可申請:https://i-magazine.bme.jp/92/193/398/XXXX
「まち」を「つくる」:https://i-magazine.bme.jp/92/193/399/XXXX
熊本の登記測量:https://i-magazine.bme.jp/92/193/400/XXXX
熊本の経営事項審査:https://i-magazine.bme.jp/92/193/401/XXXX
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