【不動産覚書】地図上の「線」が持つ意味を読み解く
2025/11/24 (Mon) 07:40
━━━━━━━━━━━━━━━vol.1049 2025.11.24
不動産覚書 ~要点だけ。メールで届く、不動産の本質~
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XXXXさん
おはようございます。村上です。
本日は冒頭に大切なお知らせがあります。
メルマガ配信スタンドの都合で、本メルマガの配信は今年いっぱいとなりました。 これまでお読みいただき、本当にお世話になりました。 最後まであと少しありますので、できるだけ有益な情報を発信していきたいと思います。
さて、11月も下旬となり、朝晩の冷え込みに冬の訪れを感じる季節となりました。 枯葉舞う郊外の物件調査などでは、寒さとともに身が引き締まる思いがします。
私たちが普段、当たり前のように接している「街」と「田園」。 実はこの境界線には、明確な「意思」が存在することをご存じでしょうか?
今回は、不動産調査の基本中の基本でありながら、お客様の資産価値に直結する「区域区分」と「まちづくり」について。
「なぜここは家が建てられないの?」 そんなお客様の疑問に、自信を持って答えられるプロの視点を再確認しましょう。
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■ メイントピック 地図上の「線」が持つ意味を読み解く
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不動産調査で必ず目にする「市街化区域」と「市街化調整区域」。 これは単なる色分けではなく、都市計画法というルールブックに基づく「街の役割分担」です。
この役割分担を、お客様にわかりやすく伝えるための「たとえ話」と「実務ポイント」をまとめました。
1.街の「リビング」と「庭」
この2つの区域の違いは、家の「間取り」に例えると非常にスムーズに伝わります。
● 市街化区域 = 「リビングルーム」 家族が集まり、食事をし、テレビを見る場所。 つまり、人が活動しやすく、道路や下水道などのインフラ整備を優先し、どんどん建物を建てて賑やかにしていくエリアです。 ⇒【実務メモ】資産価値は維持されやすいですが、用途地域による建築制限には注意が必要です。
● 市街化調整区域 = 「庭・家庭菜園」 自然を楽しんだり、作物を育てたりする場所。 むやみに開発せず、現状の自然や農地を守るため、原則として「建物を建ててはいけない」エリアです。 ⇒【実務メモ】「安いから」と安易に手を出すと、再建築不可やインフラ未整備のリスクがあります。 まずは「建築許可の見込み」を役所で徹底確認することが必須です。
2.都市計画法は「レゴの設計図」
都市計画法は、街という巨大なレゴブロックの「設計図」です。 どこに何を置くか、全体の骨格を決めるルールです。
しかし、設計図通りにブロックを積むだけでは、機能的ですが味気ない街になってしまいます。
そこで重要になるのが「まちづくり」という活動です。
3.ルール(法律)と彩り(まちづくり)
「都市計画法」がハード面のルールなら、「まちづくり」はそこに魂を吹き込むソフト面の活動です。
・公園に花壇を作る ・空き家をカフェにして交流の場にする ・地域のお祭りを企画する
これらは住民や企業が主体となって行う、街への「彩り付け」です。
私たち不動産業者が物件を見る際、法的な規制(スペック)を確認するのは当然です。 しかし、一歩進んで「その街でどんな活動が行われているか」を知ることは、その街の「将来性」や「温度感」を知ることと同義です。
「このエリアは法的な制限はありますが、地域の方々の活動でとても美しい景観が保たれていますよ」
そんな「プラスアルファの情報」こそが、スペックを超えた提案力に繋がるのではないでしょうか。
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■ 編集後記 「線」の向こう側にある景色
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先日、市街化区域と調整区域のちょうど境界にある道を歩く機会がありました。
道の片側には新しい住宅が整然と並び、夕食の支度をする温かい明かりが漏れています。 対して、もう片側には稲刈りの終わった田んぼが静かに広がり、冬支度を済ませた大地が眠っているようでした。
地図上で見れば、一本の「線」でしかありませんが、そこには明確に「人間の営み」と「自然の営み」が区切られて存在していました。
昔の私は、調整区域を見ると「開発できない、扱いにくい土地だな」とネガティブに捉えがちでした。 しかし、寒空の下、田んぼを吹き抜ける凛とした風を感じた時、「この場所が守られているからこそ、都市の呼吸が保たれているんだ」と、腑に落ちる感覚がありました。
私たちが扱う不動産は、ただの土地や建物ですが、それは大きな街というパズルの大切な1ピースです。
法律という冷徹なルールと、そこに住む人の温かい想い。 その両方を翻訳して伝えることが、私たち不動産実務者の、本当の役割なのかもしれません。
今年も残りわずかですが、最後までお付き合いいただけますと幸いです。
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■ 発行人 株式会社三成開発 村上哲一
熊本県熊本市中央区南熊本三丁目14番3号
くまもと大学連携インキュベータ108号
E-MAIL:murakami@3sei.jp
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不動産覚書:https://i-magazine.bme.jp/92/193/352/XXXX
熊本の開発許可申請:https://i-magazine.bme.jp/92/193/353/XXXX
「まち」を「つくる」:https://i-magazine.bme.jp/92/193/354/XXXX
熊本の登記測量:https://i-magazine.bme.jp/92/193/355/XXXX
熊本の経営事項審査:https://i-magazine.bme.jp/92/193/356/XXXX
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■ メールの配信解除はこちらから
XXXX
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おはようございます。村上です。
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さて、11月も下旬となり、朝晩の冷え込みに冬の訪れを感じる季節となりました。 枯葉舞う郊外の物件調査などでは、寒さとともに身が引き締まる思いがします。
私たちが普段、当たり前のように接している「街」と「田園」。 実はこの境界線には、明確な「意思」が存在することをご存じでしょうか?
今回は、不動産調査の基本中の基本でありながら、お客様の資産価値に直結する「区域区分」と「まちづくり」について。
「なぜここは家が建てられないの?」 そんなお客様の疑問に、自信を持って答えられるプロの視点を再確認しましょう。
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■ メイントピック 地図上の「線」が持つ意味を読み解く
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不動産調査で必ず目にする「市街化区域」と「市街化調整区域」。 これは単なる色分けではなく、都市計画法というルールブックに基づく「街の役割分担」です。
この役割分担を、お客様にわかりやすく伝えるための「たとえ話」と「実務ポイント」をまとめました。
1.街の「リビング」と「庭」
この2つの区域の違いは、家の「間取り」に例えると非常にスムーズに伝わります。
● 市街化区域 = 「リビングルーム」 家族が集まり、食事をし、テレビを見る場所。 つまり、人が活動しやすく、道路や下水道などのインフラ整備を優先し、どんどん建物を建てて賑やかにしていくエリアです。 ⇒【実務メモ】資産価値は維持されやすいですが、用途地域による建築制限には注意が必要です。
● 市街化調整区域 = 「庭・家庭菜園」 自然を楽しんだり、作物を育てたりする場所。 むやみに開発せず、現状の自然や農地を守るため、原則として「建物を建ててはいけない」エリアです。 ⇒【実務メモ】「安いから」と安易に手を出すと、再建築不可やインフラ未整備のリスクがあります。 まずは「建築許可の見込み」を役所で徹底確認することが必須です。
2.都市計画法は「レゴの設計図」
都市計画法は、街という巨大なレゴブロックの「設計図」です。 どこに何を置くか、全体の骨格を決めるルールです。
しかし、設計図通りにブロックを積むだけでは、機能的ですが味気ない街になってしまいます。
そこで重要になるのが「まちづくり」という活動です。
3.ルール(法律)と彩り(まちづくり)
「都市計画法」がハード面のルールなら、「まちづくり」はそこに魂を吹き込むソフト面の活動です。
・公園に花壇を作る ・空き家をカフェにして交流の場にする ・地域のお祭りを企画する
これらは住民や企業が主体となって行う、街への「彩り付け」です。
私たち不動産業者が物件を見る際、法的な規制(スペック)を確認するのは当然です。 しかし、一歩進んで「その街でどんな活動が行われているか」を知ることは、その街の「将来性」や「温度感」を知ることと同義です。
「このエリアは法的な制限はありますが、地域の方々の活動でとても美しい景観が保たれていますよ」
そんな「プラスアルファの情報」こそが、スペックを超えた提案力に繋がるのではないでしょうか。
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■ 編集後記 「線」の向こう側にある景色
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先日、市街化区域と調整区域のちょうど境界にある道を歩く機会がありました。
道の片側には新しい住宅が整然と並び、夕食の支度をする温かい明かりが漏れています。 対して、もう片側には稲刈りの終わった田んぼが静かに広がり、冬支度を済ませた大地が眠っているようでした。
地図上で見れば、一本の「線」でしかありませんが、そこには明確に「人間の営み」と「自然の営み」が区切られて存在していました。
昔の私は、調整区域を見ると「開発できない、扱いにくい土地だな」とネガティブに捉えがちでした。 しかし、寒空の下、田んぼを吹き抜ける凛とした風を感じた時、「この場所が守られているからこそ、都市の呼吸が保たれているんだ」と、腑に落ちる感覚がありました。
私たちが扱う不動産は、ただの土地や建物ですが、それは大きな街というパズルの大切な1ピースです。
法律という冷徹なルールと、そこに住む人の温かい想い。 その両方を翻訳して伝えることが、私たち不動産実務者の、本当の役割なのかもしれません。
今年も残りわずかですが、最後までお付き合いいただけますと幸いです。
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■ 発行人 株式会社三成開発 村上哲一
熊本県熊本市中央区南熊本三丁目14番3号
くまもと大学連携インキュベータ108号
E-MAIL:murakami@3sei.jp
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不動産覚書:https://i-magazine.bme.jp/92/193/352/XXXX
熊本の開発許可申請:https://i-magazine.bme.jp/92/193/353/XXXX
「まち」を「つくる」:https://i-magazine.bme.jp/92/193/354/XXXX
熊本の登記測量:https://i-magazine.bme.jp/92/193/355/XXXX
熊本の経営事項審査:https://i-magazine.bme.jp/92/193/356/XXXX
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