【不動産覚書】不動産価値を再定義する「カーフリー化」という潮流
2025/10/06 (Mon) 07:40
━━━━━━━━━━━━vol.1042━2025.10.06━
不動産覚書~要点だけ。メールで届く、不動産の本質~
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XXXXさん
おはようございます。村上です。
「もし、この道路から車がなくなったら…?」
普段、何気なく見ている街の風景に、そんな想像を巡らせたことはありますか?
世界中の都市で、あえて車の通行を制限する「カーフリー化」の動きが加速しています。これは単なる交通政策ではなく、不動産の価値を根本から変え、未来の暮らしやすさを創り出す壮大な挑戦です。
今回は、この「カーフリー化」が私たちの不動産業務にどのような影響を与え、新たなビジネスチャンスを生むのかを解説します。数年後の「当たり前」を先取りし、顧客への提案に新たな視点を加えていきましょう。
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■ メイントピック|不動産価値を再定義する「カーフリー化」という潮流
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都市の持続可能性と住民の生活の質を高める戦略として、世界中で「カーフリー化」が進んでいます。これは街の中心部や住宅地から自動車を制限し、歩行者中心の空間を創り出す取り組みです。
この動きは、不動産業界にとって無視できない大きな変化をもたらします。交通量が減り、静かで安全な住環境が生まれることで、住宅や商業施設の価値が大きく向上するからです。
1. 世界の都市が証明する「カーフリー」の価値
パリ(フランス)
セーヌ川沿いの道路を歩行者天国に。以前は閑散としていたエリアが活気を取り戻し、周辺の店舗売上と不動産価値が共に上昇しました。
バルセロナ(スペイン)
複数の街区をまとめ、車が入れない「スーパーブロック」を形成。緑地や広場が増えたことでヒートアイランド現象が緩和され、快適な住環境を求める新たな不動産需要が生まれています。
ボゴタ(コロンビア)
大規模な自転車専用道路を整備。毎週日曜には主要道路を封鎖する「シクロビア」を実施し、住民の健康増進とコミュニティの活性化を実現しています。
これらの事例は、カーフリー化が環境改善だけでなく、経済的な活性化と不動産価値の向上に直結することを示しています。
2. 不動産業務に活かす3つの視点
では、この流れを私たちの業務にどう活かせばよいのでしょうか。
・「静けさ」と「緑」が新たな資産価値になる
これまでの「駅徒歩〇分」という指標に加え、「車の騒音が少ない」「子どもが安全に遊べる公園が近い」「緑豊かな遊歩道がある」といった要素が、物件の強力なセールスポイントになります。特に暮らしの質を重視する層に響く、新しい価値基準です。
・ 公共交通とMaaS(次世代交通サービス)への注目
カーフリー化は、バスや電車といった公共交通の利便性向上とセットで進められます。さらに、カーシェアやシェアサイクルなどを統合したMaaSの普及も加速します。物件案内の際には、こうした新しい交通サービスとの連携をアピールすることで、「車を所有しない暮らし」という具体的なライフスタイルを提案できます。
・環境配慮型不動産の需要拡大を見据える
カーフリー化に関心を持つ層は、環境意識が高い傾向にあります。太陽光発電や高い断熱性能を持つエコ住宅、EV(電気自動車)の充電設備を備えたマンションなどは、今後ますます需要が高まるでしょう。物件の付加価値として、これらの設備を積極的に提案していく視点が重要です。
カーフリー化は、単なる交通規制ではありません。不動産の価値基準そのものを変え、新しい街の魅力を創り出す成長戦略なのです。
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■ 編集後記|「何もない」が生み出す価値
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先日、中心市街地で普段は車で通り過ぎるだけの路地を、たまたま歩いてみました。
そこは車の乗り入れができない細い道で、カフェのテラス席が並び、子どもたちが駆け回り、聞こえるのは人々の話し声と遠くの電車の音だけ。車という「動」がないだけで、こんなにも空間の質が変わるのかと驚きました。
不動産は、建物を建てたり、インフラを整備したりと、「足し算」で価値を高めていくことが多い仕事です。しかし、時には車を「引き算」するように、あえて「何もない」空間をつくることで、そこにしかない豊かさや安心感が生まれる。
私たちの仕事は、単なる物理的な資産を扱うだけでなく、そうした空間の「質」や「体験」を創り出すことにも繋がっているのだと、改めて感じさせられた散歩道でした。
次回も、少しでもお役に立つ情報をお届けできるよう努めます。
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■ 発行人
株式会社三成開発 村上哲一
熊本県熊本市中央区南熊本三丁目14番3号
くまもと大学連携インキュベータ108号
E-MAIL:murakami@3sei.jp
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不動産覚書:https://i-magazine.bme.jp/92/193/262/XXXX
熊本の開発許可申請:https://i-magazine.bme.jp/92/193/263/XXXX
「まち」を「つくる」:https://i-magazine.bme.jp/92/193/264/XXXX
熊本の登記測量:https://i-magazine.bme.jp/92/193/265/XXXX
熊本の経営事項審査:https://i-magazine.bme.jp/92/193/266/XXXX
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■ メールの配信解除はこちらから
XXXX
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「もし、この道路から車がなくなったら…?」
普段、何気なく見ている街の風景に、そんな想像を巡らせたことはありますか?
世界中の都市で、あえて車の通行を制限する「カーフリー化」の動きが加速しています。これは単なる交通政策ではなく、不動産の価値を根本から変え、未来の暮らしやすさを創り出す壮大な挑戦です。
今回は、この「カーフリー化」が私たちの不動産業務にどのような影響を与え、新たなビジネスチャンスを生むのかを解説します。数年後の「当たり前」を先取りし、顧客への提案に新たな視点を加えていきましょう。
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■ メイントピック|不動産価値を再定義する「カーフリー化」という潮流
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都市の持続可能性と住民の生活の質を高める戦略として、世界中で「カーフリー化」が進んでいます。これは街の中心部や住宅地から自動車を制限し、歩行者中心の空間を創り出す取り組みです。
この動きは、不動産業界にとって無視できない大きな変化をもたらします。交通量が減り、静かで安全な住環境が生まれることで、住宅や商業施設の価値が大きく向上するからです。
1. 世界の都市が証明する「カーフリー」の価値
パリ(フランス)
セーヌ川沿いの道路を歩行者天国に。以前は閑散としていたエリアが活気を取り戻し、周辺の店舗売上と不動産価値が共に上昇しました。
バルセロナ(スペイン)
複数の街区をまとめ、車が入れない「スーパーブロック」を形成。緑地や広場が増えたことでヒートアイランド現象が緩和され、快適な住環境を求める新たな不動産需要が生まれています。
ボゴタ(コロンビア)
大規模な自転車専用道路を整備。毎週日曜には主要道路を封鎖する「シクロビア」を実施し、住民の健康増進とコミュニティの活性化を実現しています。
これらの事例は、カーフリー化が環境改善だけでなく、経済的な活性化と不動産価値の向上に直結することを示しています。
2. 不動産業務に活かす3つの視点
では、この流れを私たちの業務にどう活かせばよいのでしょうか。
・「静けさ」と「緑」が新たな資産価値になる
これまでの「駅徒歩〇分」という指標に加え、「車の騒音が少ない」「子どもが安全に遊べる公園が近い」「緑豊かな遊歩道がある」といった要素が、物件の強力なセールスポイントになります。特に暮らしの質を重視する層に響く、新しい価値基準です。
・ 公共交通とMaaS(次世代交通サービス)への注目
カーフリー化は、バスや電車といった公共交通の利便性向上とセットで進められます。さらに、カーシェアやシェアサイクルなどを統合したMaaSの普及も加速します。物件案内の際には、こうした新しい交通サービスとの連携をアピールすることで、「車を所有しない暮らし」という具体的なライフスタイルを提案できます。
・環境配慮型不動産の需要拡大を見据える
カーフリー化に関心を持つ層は、環境意識が高い傾向にあります。太陽光発電や高い断熱性能を持つエコ住宅、EV(電気自動車)の充電設備を備えたマンションなどは、今後ますます需要が高まるでしょう。物件の付加価値として、これらの設備を積極的に提案していく視点が重要です。
カーフリー化は、単なる交通規制ではありません。不動産の価値基準そのものを変え、新しい街の魅力を創り出す成長戦略なのです。
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■ 編集後記|「何もない」が生み出す価値
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先日、中心市街地で普段は車で通り過ぎるだけの路地を、たまたま歩いてみました。
そこは車の乗り入れができない細い道で、カフェのテラス席が並び、子どもたちが駆け回り、聞こえるのは人々の話し声と遠くの電車の音だけ。車という「動」がないだけで、こんなにも空間の質が変わるのかと驚きました。
不動産は、建物を建てたり、インフラを整備したりと、「足し算」で価値を高めていくことが多い仕事です。しかし、時には車を「引き算」するように、あえて「何もない」空間をつくることで、そこにしかない豊かさや安心感が生まれる。
私たちの仕事は、単なる物理的な資産を扱うだけでなく、そうした空間の「質」や「体験」を創り出すことにも繋がっているのだと、改めて感じさせられた散歩道でした。
次回も、少しでもお役に立つ情報をお届けできるよう努めます。
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■ 発行人
株式会社三成開発 村上哲一
熊本県熊本市中央区南熊本三丁目14番3号
くまもと大学連携インキュベータ108号
E-MAIL:murakami@3sei.jp
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不動産覚書:https://i-magazine.bme.jp/92/193/262/XXXX
熊本の開発許可申請:https://i-magazine.bme.jp/92/193/263/XXXX
「まち」を「つくる」:https://i-magazine.bme.jp/92/193/264/XXXX
熊本の登記測量:https://i-magazine.bme.jp/92/193/265/XXXX
熊本の経営事項審査:https://i-magazine.bme.jp/92/193/266/XXXX
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