【不動産覚書】不動産の価値を左右する「都市計画法」のキホン
2025/08/25 (Mon) 07:40
━━━━━━━━━━━━vol.1036━2025.08.25━
不動産覚書~要点だけ。メールで届く、不動産の本質~
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XXXXさん
おはようございます。村上です。
「この土地には、どんな建物が建てられるのだろう?」
「なぜ、あそこは開発が進むのに、ここは静かなままなのだろう?」
物件調査やお客様への説明の場面で、こうした疑問に直面することは日常茶飯事かと思います。
その全ての答えの根幹にあるのが「都市計画法」です。
一見すると複雑で難解に思えるこの法律ですが、実は街の性格や不動産の価値を決定づける、最も重要なルールブックと言えます。
今回は、この都市計画法の「キモ」となる部分だけを凝縮しました。
法律の知識が、お客様への説得力ある提案という「武器」に変わる。そんなポイントをお伝えします。
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■ メイントピック|不動産の価値を左右する「都市計画法」のキホン
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都市計画法とは、一言でいえば「街づくりのルールブック」です。人々が安全で快適に暮らせるよう、無秩序な開発を防ぎ、住宅地や商業地、工業地などを適切に配置するために存在します。
この法律を理解する上で、不動産実務に不可欠な3つの基本概念を押さえておきましょう。
1. 土地のポテンシャルを決める「区域区分」
都市計画が定められるエリアは、大きく2つの区域に分けられます。これは土地活用の大前提となる、最も重要な区分です。
市街化区域
すでに市街地であるか、今後10年以内に優先的に市街化を図るべきエリアです。積極的に建物を建て、街を発展させていくことが奨励されるため、不動産取引も活発に行われます。
市街化調整区域
市街化を抑制すべきエリアです。豊かな自然環境や農地を守ることが目的で、原則として新たな建物の建築や開発が厳しく制限されます。同じエリアでも、この区域に指定されているだけで土地の価値は大きく変わります。
2. 街の性格を描き分ける「用途地域」
市街化区域の中は、さらに土地の使いみちに応じて「用途地域」が細かく定められています。これは、街の環境や利便性を守るためのゾーニングです。
住居系:「第一種低層住居専用地域」のように、静かで落ち着いた住環境を守るためのエリア。大きな店舗や工場は建てられません。
商業系:「近隣商業地域」や「商業地域」など、店舗やオフィスの立地を促すエリア。駅前などに多く見られます。
工業系:「工業地域」や「工業専用地域」など、工場の操業を前提としたエリア。住宅の建築が制限されることもあります。
「静かな住宅街に、なぜか工場がない」のは、この用途地域によって街の性格が守られているからです。
3. 建物の規模を制限する「建蔽率」と「容積率」
土地にどれくらいの規模の建物を建てられるかを具体的に決めるのが、この2つの指標です。
建蔽率(けんぺいりつ)
敷地面積に対する「建築面積(建物を真上から見たときの面積)」の割合です。この制限により、敷地内に一定の空き地が確保され、日当たりや風通しが保たれます。
容積率(ようせきりつ)
敷地面積に対する「延床面積(建物の全フロアの床面積の合計)」の割合です。この数値が高いほど、高層の建物や、より床面積の広い建物を建てることが可能になります。
これらのルールがあるからこそ、街の景観や住環境に一定の秩序が保たれ、不動産の価値が安定するのです。お客様に「なぜこの広さの家しか建てられないのか」と問われた際、これらの概念を基に説明できれば、プロとしての信頼は格段に高まります。
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■ 編集後記|ルールが描く街の個性
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先日、熊本市内の好きな散歩コースを歩いていて、ふと思いました。
なぜこの道は歩いていて気持ちが良いのだろう、と。
道の幅、建物の高さが揃っていることによる開放感、そして時折現れる小さな公園の緑。それらが絶妙なバランスを保っているからだと気づきました。
これらは決して偶然の産物ではなく、今回テーマにした「都市計画法」というルールに基づいて、意図的に作られた景観です。
法律や規制と聞くと、どこか窮屈で無機質なイメージを抱きがちです。しかし、優れたルールは、街に「個性」と「快適さ」という命を吹き込むのだなと。
私たちが扱う不動産も、一つ一つがそうした大きな街の設計図の一部。その土地が持つルールを正しく読み解き、お客様の未来の暮らしというピースを最適の場所にはめていく。そんな役割の奥深さを改めて感じた一日でした。
次回も、少しでもお役に立つ情報をお届けできるよう努めます。
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■ 発行人
株式会社三成開発 村上哲一
〒860-0088 熊本県熊本市北区津浦町44番5号
E-MAIL:murakami@3sei.jp
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不動産覚書:https://i-magazine.bme.jp/92/193/187/XXXX
熊本の開発許可申請:https://i-magazine.bme.jp/92/193/188/XXXX
「まち」を「つくる」:https://i-magazine.bme.jp/92/193/189/XXXX
熊本の登記測量:https://i-magazine.bme.jp/92/193/190/XXXX
熊本の経営事項審査:https://i-magazine.bme.jp/92/193/191/XXXX
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XXXXさん
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「この土地には、どんな建物が建てられるのだろう?」
「なぜ、あそこは開発が進むのに、ここは静かなままなのだろう?」
物件調査やお客様への説明の場面で、こうした疑問に直面することは日常茶飯事かと思います。
その全ての答えの根幹にあるのが「都市計画法」です。
一見すると複雑で難解に思えるこの法律ですが、実は街の性格や不動産の価値を決定づける、最も重要なルールブックと言えます。
今回は、この都市計画法の「キモ」となる部分だけを凝縮しました。
法律の知識が、お客様への説得力ある提案という「武器」に変わる。そんなポイントをお伝えします。
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■ メイントピック|不動産の価値を左右する「都市計画法」のキホン
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都市計画法とは、一言でいえば「街づくりのルールブック」です。人々が安全で快適に暮らせるよう、無秩序な開発を防ぎ、住宅地や商業地、工業地などを適切に配置するために存在します。
この法律を理解する上で、不動産実務に不可欠な3つの基本概念を押さえておきましょう。
1. 土地のポテンシャルを決める「区域区分」
都市計画が定められるエリアは、大きく2つの区域に分けられます。これは土地活用の大前提となる、最も重要な区分です。
市街化区域
すでに市街地であるか、今後10年以内に優先的に市街化を図るべきエリアです。積極的に建物を建て、街を発展させていくことが奨励されるため、不動産取引も活発に行われます。
市街化調整区域
市街化を抑制すべきエリアです。豊かな自然環境や農地を守ることが目的で、原則として新たな建物の建築や開発が厳しく制限されます。同じエリアでも、この区域に指定されているだけで土地の価値は大きく変わります。
2. 街の性格を描き分ける「用途地域」
市街化区域の中は、さらに土地の使いみちに応じて「用途地域」が細かく定められています。これは、街の環境や利便性を守るためのゾーニングです。
住居系:「第一種低層住居専用地域」のように、静かで落ち着いた住環境を守るためのエリア。大きな店舗や工場は建てられません。
商業系:「近隣商業地域」や「商業地域」など、店舗やオフィスの立地を促すエリア。駅前などに多く見られます。
工業系:「工業地域」や「工業専用地域」など、工場の操業を前提としたエリア。住宅の建築が制限されることもあります。
「静かな住宅街に、なぜか工場がない」のは、この用途地域によって街の性格が守られているからです。
3. 建物の規模を制限する「建蔽率」と「容積率」
土地にどれくらいの規模の建物を建てられるかを具体的に決めるのが、この2つの指標です。
建蔽率(けんぺいりつ)
敷地面積に対する「建築面積(建物を真上から見たときの面積)」の割合です。この制限により、敷地内に一定の空き地が確保され、日当たりや風通しが保たれます。
容積率(ようせきりつ)
敷地面積に対する「延床面積(建物の全フロアの床面積の合計)」の割合です。この数値が高いほど、高層の建物や、より床面積の広い建物を建てることが可能になります。
これらのルールがあるからこそ、街の景観や住環境に一定の秩序が保たれ、不動産の価値が安定するのです。お客様に「なぜこの広さの家しか建てられないのか」と問われた際、これらの概念を基に説明できれば、プロとしての信頼は格段に高まります。
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■ 編集後記|ルールが描く街の個性
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先日、熊本市内の好きな散歩コースを歩いていて、ふと思いました。
なぜこの道は歩いていて気持ちが良いのだろう、と。
道の幅、建物の高さが揃っていることによる開放感、そして時折現れる小さな公園の緑。それらが絶妙なバランスを保っているからだと気づきました。
これらは決して偶然の産物ではなく、今回テーマにした「都市計画法」というルールに基づいて、意図的に作られた景観です。
法律や規制と聞くと、どこか窮屈で無機質なイメージを抱きがちです。しかし、優れたルールは、街に「個性」と「快適さ」という命を吹き込むのだなと。
私たちが扱う不動産も、一つ一つがそうした大きな街の設計図の一部。その土地が持つルールを正しく読み解き、お客様の未来の暮らしというピースを最適の場所にはめていく。そんな役割の奥深さを改めて感じた一日でした。
次回も、少しでもお役に立つ情報をお届けできるよう努めます。
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■ 発行人
株式会社三成開発 村上哲一
〒860-0088 熊本県熊本市北区津浦町44番5号
E-MAIL:murakami@3sei.jp
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不動産覚書:https://i-magazine.bme.jp/92/193/187/XXXX
熊本の開発許可申請:https://i-magazine.bme.jp/92/193/188/XXXX
「まち」を「つくる」:https://i-magazine.bme.jp/92/193/189/XXXX
熊本の登記測量:https://i-magazine.bme.jp/92/193/190/XXXX
熊本の経営事項審査:https://i-magazine.bme.jp/92/193/191/XXXX
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