【不動産覚書】空き家対策法改正のポイント
2025/08/04 (Mon) 07:40
━━━━━━━━━━━━vol.1033━2025.08.04━
不動産覚書~要点だけ。メールで届く、不動産の本質~
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XXXXさん
おはようございます。村上です。
「空き家対策」と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
多くの人が「取り壊し」「撤去」といった少しネガティブな側面を思い浮かべるかもしれません。しかし、近年の法改正によって、その考え方は大きく変わりつつあります。
これからの空き家対策は、「壊す」だけでなく「活かす」こと。そして、所有者一人ひとりの責任と地域のつながりが、より重要になってきました。
今回のメルマガでは、不動産業に携わる私たちにとっても見逃せない、空き家対策の新ルールについて、要点を絞って解説します。今後の顧客提案に役立つヒントが満載です。
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■ メイントピック|空き家対策法改正のポイント
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空き家問題は、単なる個人の問題ではなく、地域全体の課題となっています。その解決に向けて、令和5年の法改正により、これまでの制度が大きく見直されました。
今回は、特に押さえておくべき3つのポイントを解説します。
空き家所有者の「責任」が明確に
これまでの空き家対策は、所有者への「お願い」が中心でした。しかし、法改正により、所有者には「国や地方公共団体の空き家対策に協力する努力義務」が課されました。
これは、空き家が個人の資産であると同時に、地域環境に影響を与える「公共性の高いもの」だという考え方への転換を示しています。
具体的には、市区町村からの空き家現況調査への回答や、適切な管理に関する指導への協力が求められます。この「努力義務」が、放置空き家による近隣トラブル(倒壊リスク、悪臭、治安悪化など)を未然に防ぐ第一歩となります。
「管理不全空家」への税制面でのペナルティ
今回の法改正で新たに導入されたのが「管理不全空家」の概念です。
これは、放置すれば「特定空家」(周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家)になる恐れがある状態を指します。たとえば、雑草が生い茂って隣地にはみ出したり、窓ガラスが割れたままの状態などです。
市区町村は、こうした管理不全空家に対し、指導や「勧告」を行うことができるようになりました。
そして、この「勧告」を受けた空き家は、固定資産税の軽減措置が解除されます。これにより、これまで大幅に優遇されていた税負担が最大6倍になる可能性もあり、所有者にとって「放置する」という選択肢が取りづらくなります。
この制度は、空き家対策に大きな経済的インセンティブを与えるものです。
「活用」と「管理」を後押しする新制度
空き家問題を解決するには、所有者への責任追及だけでなく、管理や活用をサポートする仕組みも不可欠です。法改正では、そのための新たな制度も創設されました。
空家等活用促進区域の創設
中心市街地や観光地など、空き家を積極的に活用したいエリアを指定。この区域内では、建築基準法の規制が一部緩和され、カフェや民泊への用途変更、細い路地に面した物件の建替えなどがしやすくなります。
支援法人の指定
市区町村が指定する「支援法人」が、高齢の所有者や遠方に住む所有者に代わって、空き家の管理や活用に関する相談、所有者探索などを支援します。
さらに、所有者が不明な空き家についても、市区町村が裁判所に申し立てを行い、「財産管理人」を選任することで、管理や売却を進められるようになりました。
「誰の持ち物か分からないから何もできない」という長年の課題に、現実的な解決策が示されたのです。
まとめ
これからの空き家対策は、「壊す」か「放置」か、という二択ではありません。
所有者の責任を明確にしつつ、管理・活用の両面から空き家を「地域資源」として生まれ変わらせるための仕組みが、少しずつですが確実に整備されています。
不動産実務の現場でも、こうした制度を理解し、お客様に適切な情報を提供することが、これまで以上に求められるでしょう。
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■ 編集後記|ルールが変わるとき、視点も変える
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先日、久しぶりに地元の友人と会う機会がありました。
話題は、もう何年も空き家になっている実家をどうするか。
「使ってないのに税金もったいないよな…」
そんなふうに話す彼に、「税金の優遇が外れる可能性があるんだよ」と、今回の改正法の内容を伝えると、驚きとともに少し焦ったような表情を見せました。
今まで漠然と「そのままでもいいか」と思っていた状況が、「何か手を打たなきゃ」という切迫感に変わった瞬間でした。
不動産の世界では、法律やルールが頻繁に変わります。
その変化は、時には複雑で、私たちを戸惑わせることもあります。でも、その一つひとつの変化の裏側には、必ず「より良い社会を築こう」という人々の思いや、解決すべき課題が存在しています。
空き家問題も、法律が変わることで、単なる「負動産」から「地域を元気にする資源」へと視点を変えるきっかけになるかもしれません。
私たちの仕事は、単に物件を売ったり買ったりするだけでなく、法律の変更をいち早くキャッチし、お客様の人生をより良い方向へ導くための情報を伝えること。そんな責任を改めて感じた週末でした。
次回も、少しでもお役に立つ情報をお届けできるよう努めます。
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■ 発行人
株式会社三成開発 村上哲一
〒860-0088 熊本県熊本市北区津浦町44番5号
E-MAIL:murakami@3sei.jp
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不動産覚書:https://i-magazine.bme.jp/92/193/157/XXXX
熊本の開発許可申請:https://i-magazine.bme.jp/92/193/158/XXXX
「まち」を「つくる」:https://i-magazine.bme.jp/92/193/159/XXXX
熊本の登記測量:https://i-magazine.bme.jp/92/193/160/XXXX
熊本の経営事項審査:https://i-magazine.bme.jp/92/193/161/XXXX
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XXXX
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XXXXさん
おはようございます。村上です。
「空き家対策」と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
多くの人が「取り壊し」「撤去」といった少しネガティブな側面を思い浮かべるかもしれません。しかし、近年の法改正によって、その考え方は大きく変わりつつあります。
これからの空き家対策は、「壊す」だけでなく「活かす」こと。そして、所有者一人ひとりの責任と地域のつながりが、より重要になってきました。
今回のメルマガでは、不動産業に携わる私たちにとっても見逃せない、空き家対策の新ルールについて、要点を絞って解説します。今後の顧客提案に役立つヒントが満載です。
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空き家問題は、単なる個人の問題ではなく、地域全体の課題となっています。その解決に向けて、令和5年の法改正により、これまでの制度が大きく見直されました。
今回は、特に押さえておくべき3つのポイントを解説します。
空き家所有者の「責任」が明確に
これまでの空き家対策は、所有者への「お願い」が中心でした。しかし、法改正により、所有者には「国や地方公共団体の空き家対策に協力する努力義務」が課されました。
これは、空き家が個人の資産であると同時に、地域環境に影響を与える「公共性の高いもの」だという考え方への転換を示しています。
具体的には、市区町村からの空き家現況調査への回答や、適切な管理に関する指導への協力が求められます。この「努力義務」が、放置空き家による近隣トラブル(倒壊リスク、悪臭、治安悪化など)を未然に防ぐ第一歩となります。
「管理不全空家」への税制面でのペナルティ
今回の法改正で新たに導入されたのが「管理不全空家」の概念です。
これは、放置すれば「特定空家」(周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家)になる恐れがある状態を指します。たとえば、雑草が生い茂って隣地にはみ出したり、窓ガラスが割れたままの状態などです。
市区町村は、こうした管理不全空家に対し、指導や「勧告」を行うことができるようになりました。
そして、この「勧告」を受けた空き家は、固定資産税の軽減措置が解除されます。これにより、これまで大幅に優遇されていた税負担が最大6倍になる可能性もあり、所有者にとって「放置する」という選択肢が取りづらくなります。
この制度は、空き家対策に大きな経済的インセンティブを与えるものです。
「活用」と「管理」を後押しする新制度
空き家問題を解決するには、所有者への責任追及だけでなく、管理や活用をサポートする仕組みも不可欠です。法改正では、そのための新たな制度も創設されました。
空家等活用促進区域の創設
中心市街地や観光地など、空き家を積極的に活用したいエリアを指定。この区域内では、建築基準法の規制が一部緩和され、カフェや民泊への用途変更、細い路地に面した物件の建替えなどがしやすくなります。
支援法人の指定
市区町村が指定する「支援法人」が、高齢の所有者や遠方に住む所有者に代わって、空き家の管理や活用に関する相談、所有者探索などを支援します。
さらに、所有者が不明な空き家についても、市区町村が裁判所に申し立てを行い、「財産管理人」を選任することで、管理や売却を進められるようになりました。
「誰の持ち物か分からないから何もできない」という長年の課題に、現実的な解決策が示されたのです。
まとめ
これからの空き家対策は、「壊す」か「放置」か、という二択ではありません。
所有者の責任を明確にしつつ、管理・活用の両面から空き家を「地域資源」として生まれ変わらせるための仕組みが、少しずつですが確実に整備されています。
不動産実務の現場でも、こうした制度を理解し、お客様に適切な情報を提供することが、これまで以上に求められるでしょう。
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■ 編集後記|ルールが変わるとき、視点も変える
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先日、久しぶりに地元の友人と会う機会がありました。
話題は、もう何年も空き家になっている実家をどうするか。
「使ってないのに税金もったいないよな…」
そんなふうに話す彼に、「税金の優遇が外れる可能性があるんだよ」と、今回の改正法の内容を伝えると、驚きとともに少し焦ったような表情を見せました。
今まで漠然と「そのままでもいいか」と思っていた状況が、「何か手を打たなきゃ」という切迫感に変わった瞬間でした。
不動産の世界では、法律やルールが頻繁に変わります。
その変化は、時には複雑で、私たちを戸惑わせることもあります。でも、その一つひとつの変化の裏側には、必ず「より良い社会を築こう」という人々の思いや、解決すべき課題が存在しています。
空き家問題も、法律が変わることで、単なる「負動産」から「地域を元気にする資源」へと視点を変えるきっかけになるかもしれません。
私たちの仕事は、単に物件を売ったり買ったりするだけでなく、法律の変更をいち早くキャッチし、お客様の人生をより良い方向へ導くための情報を伝えること。そんな責任を改めて感じた週末でした。
次回も、少しでもお役に立つ情報をお届けできるよう努めます。
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■ 発行人
株式会社三成開発 村上哲一
〒860-0088 熊本県熊本市北区津浦町44番5号
E-MAIL:murakami@3sei.jp
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不動産覚書:https://i-magazine.bme.jp/92/193/157/XXXX
熊本の開発許可申請:https://i-magazine.bme.jp/92/193/158/XXXX
「まち」を「つくる」:https://i-magazine.bme.jp/92/193/159/XXXX
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