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【不動産覚書】不動産ファンドを動かす「契約書」の勘所

2025/07/21 (Mon) 07:40
━━━━━━━━━━━━vol.1031━2025.07.21━
不動産覚書~要点だけ。メールで届く、不動産の本質~
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XXXXさん

おはようございます。村上です。

「不動産ファンド」と聞くと、多くの契約書が飛び交う複雑な世界を想像されるかもしれません。

しかし、なぜあれほど多くのドキュメントが必要なのでしょうか?

それは、多様な専門家が関わる大規模なプロジェクトを、共通の目標に向かって安全に航行させるための「海図」であり「羅針盤」だからです。

今回は、不動産ファンドの根幹を支える「契約書(ドキュメンテーション)」に焦点を当てます。その役割と流れを理解することで、一見複雑に見えるファンドビジネスの本質が、よりクリアに見えてくるはずです。

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■ メイントピック|不動産ファンドを動かす「契約書」の勘所
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不動産ファンドの成功は、関係者間の明確な役割分担とリスク管理にかかっています。その土台となるのが「契約書(ドキュメンテーション)」です。

1. なぜ契約書が不可欠なのか?

不動産ファンドは、投資家から資金を集め、専門家が不動産を運用し、得られた収益を分配する仕組みです。多くの関係者が関わるため、それぞれの役割と責任を文書で明確にしておく必要があります。

リスク管理と透明性: 想定されるリスク(経済変動、災害、賃料滞納など)への対処法を事前に決めておくことで、不測の事態にもスムーズに対応できます。

役割と責任の明確化: 「誰が」「何を」「どこまで」担当するのかを定義し、業務の混乱を防ぎ、円滑な連携を促します。

2. ファンドを構成する、主な契約書の種類と役割

ファンドは、目的の異なる複数の契約書を組み合わせることで成り立っています。

AM契約(アセットマネジメント契約):
ファンドの司令塔であるアセットマネージャー(AM)が、不動産の取得・運用・売却といった資産価値を最大化するための戦略を担う契約です。

PM契約(プロパティマネジメント契約):
現場のプロであるプロパティマネージャー(PM)が、物件のメンテナンス、テナント対応、賃料回収など、日々の管理運営を担う契約です。

匿名組合契約:
投資家とファンド運営者間の契約。投資家は資金を提供して利益の分配を受けますが、運営には直接関与しない、という関係性を定めます。

ローン契約:
銀行などの金融機関から不動産取得資金などを借り入れる際の契約。ファンドの資金繰りを支える重要な契約です。

信託契約:
不動産を信託銀行などに委託し、管理・運用してもらうための契約。資産の保全性を高める役割があります。

3. 契約書作成の基本的な流れ

契約書は、単に作成するだけでなく、関係者間の合意を形成していくプロセスが重要です。

スキームの共有: プロジェクトの全体計画を関係者全員で共有し、同じ目標を目指すための認識を合わせます。

ドラフト作成: 弁護士が、共有されたスキームを基に契約書の草案を作成します。

確認と交渉: 関係者全員で草案を確認。それぞれの立場から意見を出し合い、内容を調整します。

修正・ファイナル化: 交渉内容を反映して修正を重ね、最終版を完成させ、全員が署名することで契約が成立します。

契約書は、ファンドという大きな船を動かすための設計図です。その内容を正しく理解することが、プロジェクトを成功に導く第一歩となります。

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■ 編集後記|約束の重み
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子供の頃、「指切りげんまん」と小指を絡ませるだけで、約束は絶対的なものだと信じていました。

大人になり、不動産の仕事に携わるようになると、約束は何枚にもわたる「契約書」という形に変わります。なぜ、これほど多くの紙が必要になるのでしょうか。

それは、私たちが扱う「約束」が、高額な資産と多くの人の生活、そして未来にまで関わる、非常に重いものだからなのだと思います。

契約書は、単にビジネスライクなルールを並べたものではありません。「言った・言わない」の不毛な争いを避け、万が一のトラブルからお互いを守り、全員が安心して同じゴールを目指すための、先人たちの知恵が詰まったツールです。

一枚の紙の向こう側にある、たくさんの人の想いや期待に応えていく。その「約束の重み」を忘れずにいたいと、契約書に目を通すたびに改めて感じます。

次回も、少しでもお役に立つ情報をお届けできるよう努めます。

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■ 発行人
株式会社三成開発 村上哲一
〒860-0088 熊本県熊本市北区津浦町44番5号
E-MAIL:murakami@3sei.jp
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不動産覚書:https://i-magazine.bme.jp/92/193/137/XXXX
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